香りを使ったレクリエーションのすすめ
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施設や病院でのレクリエーションやイベントの開催は、高齢者の方にとってのリハビリやストレス解消になる機会ですよね。
その一方で、企画や準備をする施設や病院スタッフにとっては、いつも頭を悩ませる課題でもあります。以下のような悩みを持つスタッフは少なくないのではないでしょうか。
- レクのネタが尽きてしまう
- マンネリ化してしまう
- いつも同じような内容で変わり映えしない・・・
- 小道具などの準備が大変
そこで、施設看護師として働いていた経験を持つ私が提案したいのは、「香りを使ったレクリエーション」です。
目新しいけど高齢者の方のウケは抜群!の香りレクについてご紹介していきます。
香りレクリエーションをすすめる理由
普段、意識して匂いを嗅ぐことってあまりありませんよね。だからこそ、香りを意識して嗅ぐ・香りそのものを楽しむというレクは新鮮な体験になります。
嗅覚は他の五感と同じく年齢とともに衰えていく感覚ですが、ただ一つ違うのは、刺激によって再生できる感覚であるという点です。
精油を使った香りレクにはいろいろなメリットがあります。香りの効果は想像以上に大きいのです!
嗅覚神経と脳を刺激する
香りを嗅ぐと、匂いの情報が嗅神経を通って脳に直接伝わります。特に、脳の記憶や感情を司る部分を刺激するといわれています。
通常は、脳の神経細胞は再生しないと考えられていますが、例外があり、それが嗅細胞や海馬の細胞などです。
香りを嗅ぐことにより、嗅神経が刺激され嗅細胞の再生が促されるほか、脳の神経ネットワーク回線の増設や増強を促すので、記憶に大きな影響を与えると考えられています。
簡単にいってしまえば、香りを使った脳トレになるというわけですね。
香りで嗅覚を刺激して、嗅神経細胞の再生を促すわけですが、大切なのは「これは○○のにおい」と意識しながら嗅ぐとさらに効果的です。(参考:中野区医師会サイト)
嗅覚の分野はまだまだ発展途上ですが、以下のような続々と興味深い研究報告が上がってきています。香りレクを始めるにあたって気になる方は調べてみてくださいね。
- 認知症に対するアロマセラピーの有用性:「高度アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性.神保太樹、浦上克哉.日本アロマセラピー学会誌7(1), 43-48, 2008」
- 精油が認知症高齢者の興奮行動に与える影響:Karen Watson, et al.(2019) A randomised controlled trial of Lavender (Lavandula Angustifolia) and Lemon Balm (Melissa Officinalis) essential oils for the treatment of agitated behaviour in older people with and without dementia. Complementary Therapies in Medicine42 (2019) 366-373
- オレンジ・スイートのにおいが要介護高齢者の就眠前不安にもたらす生理的影響.松永慶子、李宙営、朴範鎭、宮崎良文.アロマテラピー学雑誌13(1)47-54
心地よい香りで癒される
香りを使ったレクリエーションの最も良いところは、良い香りによって心地よさを感じられ、リラックスできる点です。
そして、レクの対象となる高齢者の方以外にも、スタッフの気分転換や癒しにもなります。
レモンやオレンジ、ラベンダーといった香りは多くの人が「いい香り」と感じるにおいです。
もちろんにおいの好き嫌いには個人差がありますが、馴染みのある香りであれば、不快感を与えることはほとんどないといって良いでしょう。
香りを嗅ぐだけという手軽さで、精油さえ用意すれば長く続けられるというコスト的にも嬉しい点が、香りレクリエーションの大きなメリットといえます。
用意や片付けの手間が少ない
香りレクリエーションは、マッサージやボディトリートメントを行いません。
香りそのものを純粋に楽しみ、心をリラックスさせ、心地よい気分でいられることを目的にしています。
なので、最低限、精油とティッシュやコットンさえ用意すればレクリエーションとして成立します。
レクリエーションといえば、忙しい業務の合間にあれこれ物品を用意して、練習や準備をして・・・という場合が多いと思います。
香りレクは、そんな多忙な中でもサッと準備できるので手軽に始めやすいレクの一つでしょう。
アロマテラピーの導入になる
近年アロマブームが盛んになり、アロマセラピーを始めたいと考える施設・病院関係者の方もいるのではないでしょうか。
高齢者の方にとっては「アロマセラピー」はまだ認知度が高いとはいえません。実際、高齢者の方に限らず、アロマについて「全くの初めて」となると、アロマセラピーがどんなものかイメージしづらいと思われます。私もそうでした。
そこで、香りレクをアロマセラピーへの導入として始めることで、
「香りでこんなに心地良くなるんだ」
「いろいろな香りがあって楽しい」
と思ってもらえて、アロマセラピーへのイメージがしやすくなり受け入れが良くなります。
アロマセラピーを施設で始めたいと思う方は、まずは香りを使ったレクリエーションを行い、反応を探ってみると良いですよ。
香りレクのやり方
それでは、香りを使ったレクリエーションの流れについて解説します。
準備するもの
- 精油3〜4種類・・・できれば高齢者にも馴染み深い柑橘や樹木系の中から
- ムエット(試香紙)もしくはティッシュやコットン
- 精油の原料植物のイラストや写真・・・あると香りのイメージがしやすい
選ぶ精油の種類についてですが、高齢者の方にも馴染みのある香りを選ぶとウケが良いです。
馴染みのある香りを嗅ぐことで、回想法のように昔の記憶が刺激され、脳の活性化や心の安寧をもたらすことがあります。
高齢者に馴染みのある香りとは?
国産の植物を原料にした精油「和精油」です。和精油は、カテゴリーで精油通販サイトでも取り扱っています。
香りレクの流れ
香りそのものをゆっくりと楽しむだけでも良いのですが、ぜひ取り入れて欲しいのが「香り当てクイズ」です。
香りを嗅いでもらい、何の香りかを当ててもらう、という至ってシンプルな内容なのですが、クイズ形式にするとより女性陣はもちろん、男性陣も巻き込めて盛り上がります。
香りの細かいニュアンスに集中してもらい、自分の記憶と照らし合わせて考えることで脳トレになります。
ヒント・選択肢を用意したり、どっちが○○の香り?かを当ててもらう
香りを楽しむことが目的のためここは簡潔に
- 同じ香り系統の香りを用意してどっちが○○の香りかを当ててもらう(レモンとグレープフルーツ、ヒノキとスギなど)
- 馴染みがない植物の場合はいくつか選択肢を用意するとよりイメージがしやすくなる
健康に関する情報は誰しも興味を惹きやすいので、嗅いでもらった精油の作用について簡単に紹介するのも良いですね。効能についてはネットで調べればたくさん出てきます。
注意点
精油は植物の芳香成分を高濃度に含んだものなので、原液が皮膚につくとかぶれるなどの皮膚トラブルを起こす場合があります。
また精油によっては衣類につくと変色する場合もあります。ハンカチやリネン類につけたい時はその点も踏まえましょう。
精油はコットンやムエットに出し、皮膚や衣類につかないように注意しましょう。
施設の中で香りを活用しよう
用意してもらった精油は、レクリエーションだけでなく、施設の中の「香りスペース」作りに活躍します。
- 精油をつけたコットンをチューブボトル(100均で十分)などに入れて置いておく・・・通りすがりに誰もが香りを楽しめるちょっとしたリラックススペースになります。季節に合わせた香りを使うと室内にいながら季節を感じることができます。
- ロビーやエントランス、応接室に・・・狭い空間にはアロマストーンやアロマキャップ、広い空間にはディフューザーを使います。香りで印象は決まります。これはけっこう馬鹿にできません!良い香りを漂わせておくとお客様に好印象を持ってもらうことができます。
まとめ
香りを使ったレクリエーションは、体操やモノづくり系のレクとは違う目新しさがあるので、高齢者の方の興味を惹くこと間違いなしです。
においを嗅ぐだけでなく、クイズ形式を取り入れることで、より匂いの細かな違いに気づいたり、記憶を辿り香りのイメージを膨らませたりすることができます。
普段、集中してにおいを嗅ぐ機会がないからこそ、香りレクで嗅覚と心を刺激して、楽しく心地よいひと時を過ごしましょう。