エッセンシャルオイル(精油)とアロマオイルの違い【見分け方も解説】
アロマ商品の市場規模は年々拡大していて、いろいろなアロマグッズを店舗で見かける機会も増えてきていますね。
さまざまなアロマグッズはあれど、アロマオイルと呼ばれるものの中に「エッセンシャルオイル」「アロマオイル」「精油」「フレグランスオイル」「ポプリオイル」と表記が違っているのを見たことはありませんか?
「アロマを始めたいけど、何やら色々な表記があってどれを選べば良いかわからない」
「結局、どれが自分のスタイルに合ったアロマオイルなの?」
そう思っても無理はありません。私もアロマに興味を持ち始めた頃は、パッケージ裏面の表示をみても何が大切な情報なのかさっぱりわかりませんでした。
自分の生活スタイルに合ったアロマグッズを選ぶには、パッケージやラベル表示の見方を正しくマスターする必要があります。
この記事は、
- 「アロマオイル」「エッセンシャルオイル」の違い
- 「アロマオイル」「エッセンシャルオイル」の見分け方
について解説しています。
正しい表記の見方をマスターすれば、安心して自分に合ったアロマオイル選びを楽しめるようになりますよ。
エッセンシャルオイル(精油)とアロマオイルと4つの違い
① 成分が違う
エッセンシャルオイル(精油)とアロマオイルの最大の違いは、天然成分100%かそうでないかという点にあります。
精油(エッセンシャルオイル)
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の香り成分のみを抽出したもので、含有成分が100%天然由来であるものにしか付けられない表記です。
合成香料やアルコールが使用されていないものはラベルに必ず「エッセンシャルオイル」または「精油」と記載されているのが目印です。
エッセンシャルオイルと精油は、英語か日本語かの違いだよ!
エッセンシャルオイル=精油ってことだね。
AEAJ(日本アロマ環境協会)は精油について、以下のように定義しています。
『精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマセラピーの基本となるものである。』
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/oil/#:~:text=AEAJ%20による精油の定義&text=精油(エッセンシャルオイル)は、植物,となるものである%E3%80%82
アロマオイル
アロマオイルとは、香りを楽しむために、人工的に香りを作られた合成香料が使われています。
天然成分をベースに、合成香料を加え、アルコール、他の油分で希釈した製品一般を指します。
アロマテラピーで使われる精油とは違い、天然の植物成分以外の混ぜ物がある時は、ラベルには「アロマオイル」「フレグランスオイル」「ポプリオイル」などと記載されています。
反対に、「精油」「エッセンシャルオイル」という表記はできません。
人体に使用できる旨の記載がされていない限りは、基本的には香りを楽しむことがメインになりますので、植物の薬理作用を利用するアロマセラピーのような使い方はできません。
アロマオイルっていう大きいくくりの中に精油があるイメージだね
②価格が違う
精油(エッセンシャルオイル)
精油は他のアロマグッズに比べると価格が高めです。
なぜかというと、抽出までのコストや希少性が価格に反映されているためです。
精油は、植物から抽出した成分「のみ」でできています。それゆえに、以下のような理由で製造コストがかかるのです。
- 小瓶1つ分の精油を作るために、何百キロ、何トンという大量の木部や花が必要
- 天然成分ゆえにデリケートで、成分を劣化させないように厳格な品質管理が必要
- 絶滅が危惧されるほどの希少性の高い植物は、採取を制限されている
- 植物自体の成長が遅かったり、植物の開花期間が短かったりするため採取できる期間が限られている
ただし、すべての精油が高いわけではありません。
採油量が多い抽出部位(果皮など)からとった精油は比較的安価で、採油量が少ない抽出部位(花)からとった精油は高価になります。
ローズ精油は、1滴分(0.05ml)の精油が作られるまでに、50〜60本分のバラの花が使われるんだよ
アロマオイル
精油以外のアロマオイルは、価格がリーズナブルに抑えられています。
その理由は、天然成分だけではなく合成香料で香りを作れるほか、品質を安定させ香りが長持ちするように加工されているためです。
ただし例外もあり、メーカーによっては、原料となる素材の品質の高さ、添加されている素材の種類の多さに比例して高価格な製品もあります。
③保存容器が違う
精油(エッセンシャルオイル)
精油は、天然成分がゆえに非常にデリケートな物質でできています。
直射日光や高温によって品質が劣化してしまうので、紫外線によって植物の成分を変性させないように遮光瓶に入れられています。
茶色や青色の瓶が遮光瓶です。
アロマオイル
精油以外のアロマオイルは、変性しにくい合成香料が使われています。
品質の安定性を高めるために加工がされていて、温度や紫外線による成分の変性の心配が少ないため保存容器に決まりはありません。
④用途が違う
精油(エッセンシャルオイル)。
一般的にエステサロンなどで利用されているのが精油です。
また、キャリアオイルで希釈して肌へ塗布する以外にも、植物の成分を利用して掃除や虫除けなどにも使用可能で、植物の芳香成分の力を日常生活で利用できる点が特徴です。
アロマオイル
精油以外のアロマオイルは、さまざまな香りを楽しむことを目的に作られています。
合成香料で香りを人工的につくられていて、香りの強さ、香りの微妙なニュアンスを作り出せるため、香りをメインに楽しむならアロマオイルはピッタリです。
しかし、直接人体に使用できることが明記されている商品以外は、肌に塗るとかぶれるといった皮膚トラブルの恐れがあるので、基本的に肌につけることはできません。
アロマランプやリードディフューザーといった芳香グッズに使うことがメインの使い方です。
エッセンシャルオイル(精油)とアロマオイルを見分ける3つのチェックリスト
植物の学名が明記されているか
学名とは原材料になっている植物の世界共通の名前で、天然成分100%のしるしです。ラベルにラテン語で書かれているのが学名になります。
アロマオイル全般の合成香料にはこのような学名の表記はありません。
なぜ学名をチェックする必要があるのかというと、以下のような理由があります。
- 国や地域によって植物の呼び名が違うため
- 同じ名前の植物でも、品種によって含有成分の違い=香りや薬理作用の違いがあるため
- 同じ品種の植物でも、生育環境による含有成分の違い=香りや薬理作用の違いがあるため
国や地域によって植物の呼び名が違うため
国や地域によって植物の呼び名は違います。
そして厄介なのが、同じ呼び名でも国によっては違う植物を指していることがあるのです。
そういった間違いを防ぐためにも、世界共通の名前を使うことによって、原料の植物を正しく判断できるようにしているのです。
同じ名前の植物でも、品種によって含有成分の違い=香りや薬理作用の違いがあるため
ある薬理作用を求めて精油を買ったところ、実は買った精油には欲しい効果はなかった!……という間違いは実は多いです。
こういった勘違いは、学名をチェックしていれば防げます。
ラベンダーを例に挙げて解説していきましょう。
安眠への効果が期待されることで有名なラベンダーですが、鎮静の薬理作用をもつ種類は、ラベンダーの種類の中でも「真正ラベンダー」と呼ばれるものです。
真正ラベンダーの学名は「Lavandula angustifolia」と記されています。
ところが、学名が「Lavandula hybrida」と記載されていたら、それは「ラバンジン」という別品種のラベンダーです。
含まれる芳香成分が「真正ラベンダー」とは違うため、香りも薬草っぽさの強いシャープな香りです。
芳香成分が違うということは、薬理作用も違うため、「真正ラベンダー」のように鎮静目的での使用は向いていません。
お米でも「コシヒカリ」「あきたこまち」みたいに、品種の違いがあると、甘さも食感も違うよね!
せっかく買ったのに思っていたのと違う……という勘違いを防ぐためにも、欲しい精油の学名をメモしておくことをおすすめします。
同じ品種の植物でも、生育環境による含有成分の違い=香りや薬理作用の違いがあるため
植物は、土壌や空気、水などの生育環境に影響されて、含まれる芳香物質も大きく変わってきます。
含まれる芳香物質の構成が異なるものを「ケモタイプ」と呼び、学名の後ろに「Ct .○○」と表記されています。
代表的なものは「ローズマリー」があります。ローズマリーには3種類ものケモタイプが存在していて、それぞれ香りも含有成分も違うので、購入する際は注意しましょう。
「コシヒカリ」の中でも寒い地域と暑い地域で育ったものは、味わいが違うよね〜
抽出部位が明記されている
同じ植物でも、花や葉など抽出される部分によって、一般名や香り、芳香成分も変わってきます。
一例を挙げてみていきましょう。
ビターオレンジの木は学名を「Citrus aurantium」といい、日本では橙(だいだい)の名前で親しまれています。
この植物から抽出された精油は、抽出部位によって名前、香り、成分、価格が変わります。
果皮から抽出→ビターオレンジ
花から抽出 →ネロリ
葉から抽出 →プチグレン
精油が蓄えられる部位は植物によっても違うので、抽出部位が明記されているということは、植物から確実に精油を抽出している証でもあります。
抽出方法が明記されている
同じ原料でも抽出方法によって芳香成分の割合や種類が変わり、香りにも違いが出ます。
香りの印象で精油を選びたいときは参考にしてみましょう。
遮光びんに入っている
「エッセンシャルオイル(精油)とアロマオイルの4つの違い」でも触れたように、精油は紫外線や熱で劣化してしまうデリケートなものです。
必ず青色、茶色、緑色の遮光びんに入った精油を選ぶようにしましょう。
ちなみに、遮光びんの色については、透過率の違いがあるようです。
「Tea-treeの森」さんのサイトに興味深い内容がありましたので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
Tea-treeの森 「遮光瓶 色による遮光率の違い」
https://www.t-tree.net/aromatherapy/a_131114_shakoubin_uv.htm
「天然だから安全」は間違い
誤解しないでいただきたいのが、天然だから「安全」で、人工だから「危険」というわけではないということです。
精油は、フランスなどでは植物の力を利用してアロマテラピーなどに活用されています。
ここで念頭に置いて欲しいのが、人体にとって有害になる場合もあるということです。
精油は、植物の芳香成分を高濃度に含んでいるために、直接肌につけることは禁忌です。
精油の成分の中には、安全なやさしい成分のほかにも、皮膚刺激性、肝毒性、神経毒性、ホルモン作用など、人体に好ましくないものを持つものもあります。
精油の長期使用によるこのような有害作用が報告されているほか、持病のある方、妊婦の方への使用は禁忌とされている精油も多いです。
持病のある方や妊婦の方は必ず、使用する前に調べたり医師に相談しましょう。
また、精油は非常にデリケートな成分で構成されていて、保存方法によって容易に品質が劣化しやすいのです。劣化した精油は香りも変わってしまいますし、成分が人体に悪影響を及ぼす場合もあります。
このブログでは精油の「香りを楽しむ」ことをメインにご紹介しています。
必ずしも「天然だから安全」と過信せず、ラベル表記や成分表を自分の目で確認することが大切です。
パッケージに書いてある注意や使い方をよく読もうね!
エッセンシャルオイル(精油)を購入するならアロマセラピー専門店が確実
精油は、東急ハンズやロフトでも手に入れられますが、品揃えが限られていることも多く、保存方法によっては精油の品質が損なわれている場合もあります。
精油をどこで購入するか迷ったときに確実なのは、生活の木、enherb(エンハーブ)、Aroma Bloom(アロマブルーム)といったアロマテラピー専門店です。
合成香料を使ったアロマオイルやフレグランスオイルは、東急ハンズやロフトなどの生活雑貨店や、カインズといったホームセンターを中心に比較的簡単に手に入れられます。
実店舗まで出向く暇がないという方には通販サイトでの購入をおすすめします。実際の香りを試せないので通販での購入に尻込みしてしまうかもしれませんが大丈夫!
3mlの少量からの取り扱いがある通販サイトもあり、お試し気分で購入できます。
「買ってみたものの香りが合わなかった!まだこんな量残ってるけどどうすれば良いんだよ〜・・・」
ということが避けられます。
精油とアロマオイルの特徴と見分け方まとめ
精油がおすすめな人は……
- 香り+αの効果を求めたい
- 植物の自然のままの香りを楽しみたい
精油を購入する際に最低限チェックしておきたい4つのポイント!
学名が明記されている
抽出部位が明記されている
抽出方法が明記されている
遮光びんに入っている
アロマオイルがおすすめな人は……
- 香りだけを楽しめれば十分、色々な種類の香りを楽しみたい
- 管理が簡単なものがいい
- 香りが長持ちして欲しい
以下に精油(エッセンシャルオイル)とアロマオイルをまとめたので参考までに。
精油 | アロマオイル | |
成分 | 植物から抽出された成分100% | 合成香料、アルコール、キャリアオイル、その他溶剤、安定剤 |
用途 | 香り+植物の力を活用できる | 肌には使用せず香りだけを楽しむ(商品によっては肌にも使用可能) |
香りの 持続性 | 揮発性があるため香りは長持ちしない | 環境に左右されず持続する |
品質の 安定性 | 保存方法を間違えると劣化しやすい | 加工により劣化しにくい |
価格 | 原料植物や品質グレードによっては高価格なものも | 安価なものが多い |
入手 場所 | アロマセラピー専門店 | 生活雑貨店やコスメストア |
エッセンシャルオイル(精油)もアロマオイルも、それぞれにメリット・デメリットがあります。
それぞれの特徴と見分け方をマスターして、自分だけのアロマライフを楽しみましょう。