香りで相手に好印象を与える方法【記憶に残る香りの効果】
「気になる人に振り向いてもらいたい」「仕事で自分に好印象を持ってもらいたい」
他人によく思われたいという感情は誰しもが持っている気持ちです。
トークスキルや容姿を磨いて好印象を持ってもらうという方法以外にも、相手の心に残る方法があります。
それは「香り」を活用することです。
この記事では
香りが印象を左右する重要性
好印象にさせる香りの活用方法
について説明していきます。
マーケティングやエンタメにも!色々な分野で使われるにおいの仕組み
死に直結しないので研究が遅れていた分野
嗅覚は脳の深い領域とつながっていて、記憶や感情を引き出す力があります。
医療分野において、「嗅覚」についてはまだまだ未知の部分が多く、新しい領域と言われています。
なぜなら、においは死に直結しない分野のため、これまで研究が遅れていたからです。
どの時代においても、優先されるのは「多くの人々を死に至らしめる病気」であり、香りの効果はこうした病気への効果は期待できないと考えられていたためです。
嗅覚の研究は始まったばかりで、21世紀に入ってから本格的に広まっていきました。
2004年、リンダ・バックとリチャード・アクセルがノーベル生理学賞・医学賞を受賞し、嗅覚分野の研究は注目を浴びるようになります。(参照:匂いの帝王はアクセルとバック:嗅覚復権-ノーベル賞解説)
においが脳にどのように影響しているのか。
これからさらに研究が進めば、西洋医学がカバーしきれない部分に入り込めることが期待されています。
においが脳にアプローチできる特性を活かして、認知症や精神疾患、自律神経の不調への治療の一つとして香りが使われる日はそう遠くないかもしれません。
そしていずれ、ストレスの蓄積の解消や身体疾患の早期発見に香りを活かせるようになれば、病気の治療だけでなく、病気の予防にも広く活用が見込まれるのではないでしょうか。
香りの活用は、医療分野だけにとどまりません。
ビジネスシーンやエンターテイメントへの活用も期待されます。
アロマの市場規模は年々広がっており、世界的にも香り市場は拡大しています。
ビジネスにおいては、ブランディングのひとつの方法としてすでに使われていますね。
アパレルショップの店内に漂う香り、ホテルのエントランスの落ち着いた香りなどがブランドの印象づけの役割にあたります。
ブランドや職場のイメージに沿った香りのコンサルタントや業務用アロマディフューザーのレンタルサービスまでもが登場してきています。
それだけ、香りがマーケティングに重要な要素の一つとしてみられているということですね。
もしも香りを集客や購買意欲を高められるような使い方ができれば、五感の中でも感情や記憶に訴えかけられるため、とても優れたマーケティングツールになるでしょう。
エンターティメントの場面でも、すでに多くの場面で導入されています。
すみだ水族館やコミカミノルタプラネタリウムでは、アロマを上映中や館内のエリアに使い、視覚と嗅覚を組み合わせた演出をしています。
視覚や聴覚に嗅覚を組み合わせただけで、今までにない極上の体験になりそうですね。
においの研究がもっと進んだら、面白い世の中になりそうだね!
好感度アップ!香りで自分の印象を良くする方法
香りが印象と記憶に作用する
香りが与える影響の大きさを甘く見てはいけません。
「香りが脳の原始的な部分にアプローチすることで、感情や記憶、本能へ訴える」
この仕組みから分かることは、香りをビジネスシーンや人間関係に活用すれば、相手に強く、それも「良い」印象を残せるということです。
香りをブランディングやマーケティングに用いることは、企業や組織だけではありません。
「あなた」を演出するツールとして香りを用いれば、外見や話し方に匹敵するぐらい印象を左右します。
香りの身だしなみは、あなたが思っているよりも清潔感・爽やかさ、誠実さを印象付ける需要な要素です。
想像してみてください・・・
- いつも汗臭い人・体臭のする人
- 衣類から生乾きの臭いがする人
- 香水の匂いがきつすぎる人
- 口臭を漂わせている人
電車などの人混みで過ごすことが多い人は、想像に難くないのではないでしょうか。
どんなに仕事ができても、美人でも、感じが良い人でも、「臭い」人はそれだけで悪い印象が記憶に根付きます。
最近では「スメハラ」という言葉もよく聞かれますが、それほどまでに香りは人の本能に訴えかけるのです。
身なりがちゃんとしてるのに口臭がきついと残念な人になるよね……
香水や柔軟剤では体臭は隠せない
自分の体臭が気になる、という悩みは誰もが一度は持つと思います。
ですが、体臭を隠すために香りをまとうのは間違いです。
体臭と香水が混じった香りは、不快度がさらに上がってしまうからです。
「私は体臭ないタイプだから」と思っているあなたも油断してはいけません。
人間は常に皮脂、汗を分泌していて、皮膚上の常在菌がそれらを餌にして臭いを発します。
ですから体臭を抑えるには、体を清潔にし、できれば制汗剤を使うことが一番です。
良い香りをまといたいと考えるのであれば、まず自分のニオイ対策をしてから、です。
香水のつけすぎ、強すぎる柔軟剤に注意!
体臭や口臭予防のために体や衣類を清潔に保つのは言わずもがなではありますが、強すぎる香水や整髪料、強すぎる柔軟剤にも注意が必要です。
香水がきつすぎる人の近くに居続けると気分が悪くなった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近頃は「香害」なんていう言葉も聞かれますね。同じ香りでも濃度によって「いい香り」が、強く濃くなっていくと「臭い匂い」として認識するのが人間の嗅覚のしくみです。
ビジネスシーンの場合は、無臭もしくは近づいた時にほんのり香る程度が望ましいとされます。
オフィスに残り香が漂うくらい香る、数メートル離れていても香る、というのは香水のつけすぎです。
手首や首元につけるよりは足首や服を脱いだウエストあたりにつけると、香りすぎ防止になります。
香りの強さをコントロールして「なんだか印象のいい人」を目指そう!
自分のイメージに合った香りを選ぼう
香りの種類に関しても、TPOを弁えた香りを選ぶことが望ましいです。
ムスク系やスパイス系の「濃厚な」香り系統は、夜の雰囲気やプライベートならともかく、清潔感や爽やかさを重視するビジネスシーンやオフィシャルな場ではあまり好まれません。
老若男女に好まれやすい香りは、軽めで清涼感のあるシトラス系や温かみのあるウッディ系です。
これらの香りは、食べ物、森林といった比較的身近に存在している香りなので、嫌悪感を抱く人は少ないからです。
フローラル系を選ぶ場合でも華やかすぎる香りではなく、パウダリーな香り、グリーンな香りが良いでしょう。
とはいえ、香水・フレグランス選びは非常に種類が多く、香水に詳しくないと、どれを選べば良いのか…と悩むことも多いと思います。
かといって、有名なものを選ぶ、ランキングから選ぶという選び方はお勧めしません。
なぜなら、対人関係において「あなた」という人物を相手の記憶に残すためには、あなたのイメージとかけ離れた香りでは逆効果になるからです。
あなたがどのような人柄か、どのようなイメージでいたいかを考えましょう。
「スマートで知的な感じ」「温和で優しげ」「快活でポジティブ」などなど、イメージに沿った香りを選ぶことが望ましいです。
香りの系統から連想されるイメージや印象についてまとめたので参考にどうぞ!
- フローラル系……女性らしい、優しい、やわらか、上品、華やか、安心感
- シトラス系……爽やか、明るい、元気、ナチュラル、フレッシュ、快活
- ウッディ系……清々しい、温かみのある、安心感、大人っぽさ、落ち着きのある
- スパイス系……刺激的な、鋭い、凛とした、元気な、気分が高まる、個性的な
- ハーブ系……スッキリした、リラックス、爽快な、みずみずしい、清らかな
- オリエンタル系……ミステリアスな、エキゾチック、深みのある、セクシーな
- 樹脂系……スパイシー、気だるげ、深みのある、重厚な、鋭い
香りは、あなたを相手に印象付けるセルフブランディングのツールであるのと同時に、周囲の人に対する気遣いでもあります。
特に、濃厚すぎるフレグランス類は人によって好みが別れやすく、上級者向けといえます。
TPOに沿わないものでは、「空気が読めない人」「常識のない人」という印象が残りかねません。
香りは感情と記憶に強く訴えかけるからこそ選び方や付け方を間違ってしまうと、あなたの印象が好ましくないものとして相手の中に残ってしまいます。
なんだか色々考えなきゃいけないことがあって、難しそうだな……
まだくじけてはいけません!
香り初心者の方でもビジネスやオフィシャルな場で使えるアイテムはあります。
それは、
・カードフレグランス
・エッセンシャルオイル(精油)
です。
一歩先のアプローチを目指せ!カードフレグランスで相手の印象に残る
カードフレグランスとは、名刺や手紙に香りを移せるアイテムです。
名刺入れに忍ばせて名刺に香りを移すといった使い方以外にも、引き出しに入れて手紙や付箋に香りを移すこともできます。
香りで主張するには、ちょっと弱いんじゃ?
香りのバランス感覚や経験値が少ないうちは、体全体に香りをまとわせるよりも、「あの人、持ち物がなんだかいい香りだな」ぐらいの方が失敗も少ないですし、無意識的にあなたの印象を良いものにします。
プライベートなら別ですが、オフィシャルな場に立つ社会人としての香りの身だしなみは「無臭」〜「ほんのり」ぐらいがベストです。
カードフレグランスは香水などと違い、一風変わった香りアイテムなので、相手方に覚えてもらいやすいという嬉しいメリットがあります。
カードフレグランスのその他のメリットは、以下の通りです。
- 主張しすぎない、ほんのりと香る
- 名刺交換で話題のきっかけになる
- 香りが2〜3ヶ月長持ちする
- 和の香り、洋の香りがあり、香りの種類の選択肢が多い
日本のお香メーカー、日本香堂の名刺香(カードフレグランス)は白檀や沈香などお香で使われる素材はもちろん、和の花をモチーフにした香りがたくさんあるので、季節に合わせて楽しんでみるのも良いと思います。
南フランス生まれのフレグランスブランド、エステバンのカードフレグランスは、世界最高の調香師を集めているだけあって、他の追随を許さないほどの繊細で奥深い香りが揃っています。
どれも本当に良い香りなのでいろいろな種類の香りを試してください。
精油(エッセンシャルオイル)を活用する
精油(エッセンシャルオイル)とは植物の芳香成分のみでできている揮発性の液体のことです。
合成香料を使ったフレグランス類よりも香りが長持ちしにくいのですが、この特徴こそがオフィシャルの場で活躍します。
強く香りすぎず植物の自然な香りのため、鼻につくイヤな感じがしません。
- 香りが強すぎず、自然な香り
- 色々なブランドのブレンドエッセンシャルオイルがあり、種類がとても豊富
- 自分のイメージに合った香りが見つかる
- 精油(エッセンシャルオイル)を自分でブレンドして好みの香りを作れる
おすすめは、精油を垂らしたティッシュやアロマストーンを職場のロッカーや自宅のクローゼットに置き、衣類にほんのり香りを移すという使い方です。
最近では様々なブレンドエッセンシャルオイルも販売されており、フレグランス類にも負けないくらい複雑で素晴らしい香りが作られています。
いろいろなアロマメーカー・アロマブランドがブレンドエッセンシャルオイルを出していて、それぞれのブランドの香りの個性を楽しむのもまた面白いかもしれません。
どれも同じものはないので、色々試してみると自分のイメージに合う香りの系統がみつかりますよ。
まとめ〜香りで自分を印象付けよう〜
香りは記憶や感情を揺さぶるというしくみを生かして、香りの身だしなみに気を配れば、周囲の人にあなたの「良い印象」を残すことができます。
そのためには、まずは体臭や口臭などの自分のニオイ対策をすることが何より大切です。
香水・整髪料のつけすぎや、強すぎる柔軟剤も周りを不快にしてしまうので注意する必要があります。
フレグランス類を選ぶ際には、自分のイメージに合った香りの系統を選ぶことが効果的です。
いろいろ合って選べない、注意することが多くて大変そう、という方には
・カードフレグランス
・エッセンシャルオイル(精油)
の活用がオフィシャルの場でのTPOに沿えるのでおすすめです。
参考文献
- 塩田清二.『<香り>はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療』.NHK1出版新書
- 川端一永,吉井友季子,横山信子『医師がすすめる「アロマセラピー」決定版』.マキノ出版
- バーグ文子.『アロマテラピー精油辞典』.成美堂出版